連合愛媛2004春季生活闘争方針(抜粋) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1.闘いの基本スタンス 2004春季生活闘争は、 1) 政策制度要求の実現 2) ミニマム運動課題による共闘強化 3) 社会的合意形成の促進 4) 通年的な取り組みを通じた総合生活改善による「雇用と生活の悪化に歯止めをかけ、働き方の改善と労働条件の底上げをはかる闘い」 と位置付け、とりわけ「中小・地場組合の共闘強化」に取り組む。 2.連合全体で取り組む運動課題 (1) 安心と信頼の年金改革の実現 政策制度要求の実現に向け、年金改悪阻止を最優先し、組合員の全員参加により通常国会に向けたそれぞれの取り組みを強化する。 (2) 賃金カーブの確保と、純ベア要求を設定する組合のベア獲得 すべての組合は賃金カーブ維持分を算定し、産別の要求基準を踏まえたうえで、賃金カーブ維持を最低限の要求としその獲得をめざす。さらに、生活向上と格差是正をめざす組合は、純ベア要求の設定とその獲得に取り組む。 (3) 中小・地場組合の交渉支援と共闘の強化 中小・地場組合の交渉支援の具体的取り組みを強化するため、3月に中小・地場のヤマ場を産別のエントリーにより設定し、相場形成とその波及をはかる。 (4) 労働時間管理の協定化と賃金不払い残業の撲滅 不払い残業を撲滅するため、出退勤の時間把握等労働時間管理の協定化をはかるとともに、職場点検活動や社会的アピール活動を強化する。 (5) パート労働者を含む企業内最賃の協定化 非典型労働者の処遇改善に向け、最低保障水準をめざした企業内最賃の協定化をはかるとともに、均等待遇と組織化の取り組みを強化する。 3.「最重点課題」と「ミニマム運動課題」 (1)「最重点課題」の設定 @ 景気、雇用、年金を柱とした政策要求の実現 A
賃金カーブの確保と賃金の底上げ B
パート労働者等の処遇改善と均等待遇の推進 C
不払い残業の撲滅と総労働時間短縮の推進 (2)「ミニマム運動課題」の設定 @
賃金カーブ維持分の労使確認と「賃金カーブの確保」 A
「全従業員対象の企業内最低賃金の協定化」 B
「労働時間管理の協定化」 4.連合愛媛の具体的取り組み 4−1.政策制度の要求と実現に向けた取り組み 政策制度要求の実現に向け、年金改悪阻止を最優先し、組合員の全員参加により今次春季生活闘争を通じ通常国会に向けたそれぞれの取り組みを強化する。 1) 連合愛媛は、連合の指針に沿い年金改悪を阻止し「国民に安心と信頼を保障する年金改革」の実現を、当面する政策・制度要求の最大目標と位置付け、「失業改善、不安解消の雇用・経済対策を盛り込んだ補正予算及び予算の編成」「不払い残業の撲滅とワークシェアリングの追求」を中心とした課題とあわせ、その実現に向けて春季生活闘争の活動と連動させ、組合員参加の運動で取り組みを強める。 2) また、愛媛県に対し連合方針に併せ構成組織、地域協議会の要望を集約する形で政策制度の要請行動を行う。 4−2.雇用の安定確保の取り組み (1) 雇用安定に向け、経営実態等の把握と労使協議の取り組みを強化する。加えて、企業グループを含めた雇用問題の事前協議体制の確立や雇用安定の労使確認等によって、これ以上職場から失業者を出さない取り組みを徹底する。 (2) なかでも、2003年4月より基礎年金の支給開始年齢が61歳から62歳に引き上げられたことから、協約未整備の組合は、希望する者全員が65歳(最低限62歳以上)までの就労が可能となる制度の実現をはかる。 (3) 引き続き「働く側の選択肢拡大」「仕事と家庭の両立」を念頭に、「多様就労型ワークシェアリング」の政労使合意に取り組む。また、産業、業種、地域での労使協議を通じ、企業を越えた職業能力開発の場の設置、再就職支援活動などに取り組む。 4−3.賃金カーブの確保と中小・地場組合の賃金の底上げ すべての組合は、賃金実態の把握と前段交渉の強化を通じ、賃金カーブ維持分の労使確認と「賃金カーブの確保」をはかり、さらに、生活向上と格差是正をめざす組合は、純ベア要求とその獲得に取り組む。 とくに、中小・地場組合を念頭に置いた連合愛媛独自の賃金要求額を示すとともに、中小・地場組合の交渉・妥結の集中化をはかり賃上げ相場の形成とその波及に取り組む。 (1)賃金改定に関する基本的考え方 1)
連合愛媛は、中小・地場組合の「底上げ」の視点と、パート労働者や有期契約労働者の視点に立って運動を展開する。 2)
すべての組合は、産別の要求基準を踏まえたうえで、個別賃金をベースとした要求と交渉を通じ、賃金カーブ確保の賃金改定に取り組む。さらに、生活向上と格差是正をめざす組合は、純ベア要求とその獲得に取り組む。 3)
連合愛媛は、賃金制度が整備されていない組合ひいては未組織労働者の取り組みを支援するため、連合愛媛独自の賃金要求額を示すとともに、産別間共闘や地域共闘の具体的強化をはかる。 4)
また、中小・地場組合を中心とした、ヤマ場や解決促進ゾーンの設定等を通じ交渉・妥結の集中化をはかり、賃上げ相場の形成とその波及に取り組む。 5)
連合愛媛は中小・地場組合や未組織組合の賃金闘争を支援するため、賃金改定状況についての情報開示をおこなうとともに、相場の底上げをはかるため、適切な時期に、中小労組の妥結基準や妥結ミニマム基準を設定する。 6)
また、パート労働者や有期契約労働者を含めた労働条件の底上げに向けて、生活できる水準を重視した「最低保障水準」の目標額を設定するとともに、賃金水準の底上げをめざす「地域ミニマム運動」をさらに拡充する。 (2)賃金カーブ確保の取り組み 1) 経営側の賃金抑制・切り下げ攻撃を許さず、所得と生活の低下に歯止めをかけるため、すべての組合は賃金カーブ確保を最低限の取り組みとして交渉を強化する。 2) また、職場の賃金実態を把握し、早い段階から賃金カーブ維持分の算定とその労使確認の取り組みを徹底する。 3) とくに、賃金制度未整備の組合では、ここ数年、賃金カーブを維持できない結果になっていることから、賃金カーブ確保の取り組みを一層強化するとともに、賃金制度の整備と賃金表等の協定化に努める。 4) 連合愛媛は、産別・単組の協力のもとに、賃金カーブ維持分の情報開示を徹底し、その社会的波及をはかる。 4−4.パート労働者等の均等待遇の推進 すべての組合は、生活保障水準や均等待遇を念頭に『全従業員対象の企業内最低賃金の協定化』と水準の改善をはかる。 1) すべての組合は、生活保障水準や均等待遇を念頭に「全従業員対象の企業内最低賃金の協定化」と水準の改善をはかる。 2) 連合愛媛は当面、初任賃金の時間換算額における均等待遇に向けた取り組みを強化する。(産別が、各組合における、同一価値労働同一賃金を基本とした、賃金・一時金・退職金等労働条件の決定システムにおけるフルタイム正社員とパート労働者等との整合性確保の取り組みを進めることが前提) 3) また、パート労働者等に対する、キャリアアップによる処遇改善の制度化、セクシャルハラスメント防止策、母性保護制度や育児・介護休業制度の適用などの取り組みを進める。 4) 加えて、「パートタイム労働者等の組織化推進ガイドライン」を参考に、各組合におけるパート労働者との対話・交流などの具体的取り組みを通じた組織化の取り組みを強化する。 4−5.不払い残業の撲滅の推進 すべての組合は、労働時間管理の協約化をはかるとともに、労使による「不払い残業撲滅宣言」の確認や職場点検を通じ、不払い残業の撲滅をはかる。 1) 連合愛媛は、不払い残業撲滅についての社会的運動を展開するとともに、政労使・労使による「不払い残業撲滅宣言」の確認等、職場における取り組みを徹底する。 2) すべての組合は、出退勤時間管理の徹底をはかるとともに、労働時間の把握方法について労使協議を行い、確認内容について協定化(団体交渉議事録、覚え書き、確認メモ等も含む)をはかる。 4−6.男女の賃金格差是正と仕事と家庭の両立実現 各組合は、男女の賃金格差是正と仕事と家庭の両立実現に向け、点検活動の強化と改善の取り組みを進めるとともに、生活関連手当の支給要件における『世帯主』要件をなくす見直しに取り組む。 5.要求と取り組み 連合愛媛は、中小・地場組合および未組織労働者に対するミニマム要求として5,200 円、生活保障水準として時間額720円、パート賃金引き上げ10円以上を設定する。 5−1.具体的賃金要求について (1)具体的な賃金改定要求について @
連合愛媛傘下の各組合は、賃金カーブ維持分を算定し、産別方針を踏まえたうえで、賃金確保を最低限の要求としその獲得を目指す。さらに、生活向上と格差是正を目指す組合は、純ベア要求の設定とその獲得に取り組む。 A 上記以外の組合で、賃金カーブ維持分の算定が困難な組合については、連合愛媛で実態調査し推定した中小地場労働者1歳1年間平均間差額4,700円を賃金カーブ維持分とみなし、これに格差是正分500円を加えた5,200円をミニマム要求額とする。 《参考》 A.賃金カーブ維持分
B.格差是正分 (1)地域間格差 A=全国主要企業2003年度賃上げ後の平均賃金=326,541円 ※厚生労働省「平成15年民間主要企業春季賃上げ結果」 B=2002年度連合愛媛賃金平均額=262,874円 ※連合愛媛賃金実態調査結果(4,581人、平均年齢39.8歳、平均勤続16.9年) C=A-B=326,541−262,874=63,667円 (ちなみに昨年はC=47,390円であり格差は16,277円拡大したことになる) 解消期間12年:C÷12≒5,300円 15年:C÷15≒4,200円 20年:C÷20≒3,200円 連合愛媛設定定昇相当額+格差是正分=4,700+4,200=8,900円 (2)規模間格差 連合愛媛構成組織内の格差を見てみると、規模間格差は下表のように昨年度より拡大した。さらに、全体平均と地場平均とを見てみてもいずれの規模も345円〜517円の格差がある。
全体集計 @=300人以上 A=100〜299人 B=99人以下 C=合計 地場集計 D=300人以上 E=100〜299人 F=99人以下 G=合計 C.その他 (1)連合愛媛2003年春季生活闘争で定昇(相当分)額の情報公開を実施した44単組 (14,512人分)の平均 …… 5,165円 (2)回帰値を利用しての1年平均昇給額設定(2003賃金実態調査より)
(2)生活保障水準(連合愛媛リビングウェイジ・仮称)の目標額 連合愛媛は誰にでも最低限の生活を保障できる賃金としての「生活保障水準」を示す。その到達目標は時間額720円、月額125,000円とする。 各組合は生活保障水準をクリアできる全従業員対象の企業内最賃協定(時間額)と歳年齢別最低賃金協定(月額)の締結をめざす。 ※
連合愛媛リビングウェイジとは「生活保障水準を担保する最低賃金の運動」のことをいい、『連合ミニマム賃金プロジェクト』で設定された単身労働者の必要最低生計費を担保する月例収146,000円を法定労働時間上限で確保できる時間給840円に対し、愛媛県に置き換えたものである。 ※
プロジェクトのモデルはさいたま市在住としているため、146,000円に平成14年4月時点の『標準生計費』の県間の比(埼玉県233,870円、愛媛県200,760円で対埼玉県86%)を乗じた値である。 ※
当面、連合の算定した単身必要最低生計費を保障する企業内最賃の協定化に取り組むこととし、複数世帯必要最低生計費の扱い、社会的運動への展開等については今後検討を進める。 (3)最低到達目標について 連合愛媛の「地域ミニマム」は別途設定するが、35歳(勤続17年)標準労働者の最低到達目標を208,000円以上とする。 各組合は、標準労働者について、初任賃金からこの最低到達目標額以上の賃金水準となる賃金制度の整備に取り組む。 ※ 2003年連合愛媛賃金実態調査における、全組合員4581人(平均年齢39.8歳、平均勤続16.9年、男性3,592人、女性989人)の基準内賃金水準の第1四分位の数値は208,101円。 (4)一時金について 一時金については、年間収入維持を念頭に産別・単組で設定することとする。 5−2.パートタイマー等の賃金改定の取り組み (1)パート労働者の賃金引き上げ @
時間給について格差是正等を含め10円以上の引き上げに取り組む。 A
各組合の実態に即した到達目標水準を設定しその到達運動を進める。 (2)企業内最低賃金協定について パート労働者賃金の底上げをはかるため、パート労働者を含む全従業員対象の企業内最低賃金協定(時間額表示)の締結と改定に取り組む。その水準は最低でも当該企業の高卒初任給賃金の時間給換算額を目指す。 企業内最低賃金の目標水準 @ 到達目標 840円以上 ※
連合本部の設定した『生活保障水準到達目標額』 A
最低到達目標 720円以上 ※
連合愛媛の設定した『生活保障水準到達目標額』 以上 |