ベトナム国際交流女性チームに参加して
                            
                            連合愛媛 安藤 伸子

国際交流女性チームのお話をいただいた時、女性委員会副事務局長になって間もない私がと、大変躊躇しました。知識・経験ともに乏しい私ですが、グローバルな視野で女性の労働に関わる問題について考える、いい機会になるのではという思いでお受けした次第です。ベトナムについてわずかの知識しか持ち合わせておらず、あまり馴染みのない国でしたが、JILAFから送っていただいた事前学習資料に目を通し、歴史的にも社会構造的にも日本と随分違いがあることを知り、どのようなお話が伺えるかという大きな期待と、一方連日報道される鳥インフルエンザなど不安が募る中、成田を発ちました。

ハノイに着いてまず驚いたのはまるで洪水のようなバイクの波。ハノイでは道路を横断するのも一苦労。バイクの切れ目を待とうものなら、道路横断はできないでしょう。また、最近ツアー旅行などで紹介されているベトナムは、パワー溢れるホーチミンのような明るい部分がクローズアップされていると思います。しかし、首都ハノイでさえ都市部からわずか数キロ離れると、フランス調の立派な家といまにも壊れそうな家が混在していたり、のどかでどこか懐かしい農村風景が一面に広がり、牛を使っての農作業や手作業の田植えなど、一瞬にして数十年前の日本にタイムスリップしたかのような感覚に襲われました。  

各訪問先では暖かく迎えていただき、和やかな雰囲気の中会話もはずみ、お互いの国の労働事情・女性の問題等意見交換がなされました。また、ナショナルセンターであるVGCLへの訪問記事が次の日の新聞に写真入りで掲載されたことは思いがけなく、記念になりました。

男尊女卑の強いベトナムでしたが、1986年資本主義経済を導入したドイモイ政策以降、男女平等の意識改革が除々に進みつつあり、家庭の中での家事分担もなされ、また社会の中でも女性の参画、女性への教育の助成など前向きな姿勢がみられました。ベトナム労働法には『女子労働に関する特別規定』が1章設けられています。しかし法律で謳われていてもなかなか行使されていない実情。女性の問題は、国が違っても同じように奥深いものだと痛感しました。また、男性60歳・女性55歳の定年問題については、昔女性は工場の現場での労働条件が厳しく身体に負担がかかるので、早く定年になったほうがいいと考える人が多かったため、55歳定年となった経過がありました。日本では考えにくい理由です。最近社会状況が変化するにつれ60歳まで延長してほしいという声も聞かれるようになったそうです。これも今後の課題とのことでした。

また経済が発展するにつれ、経済大国日本がこれまで経験してきた、そして今なお抱えている、仕事と子育ての両立の問題、失業問題、年金の財源問題などの同じような諸問題に直面している現状もわかりました。

今回のベトナム訪問を通して、VGCLや政府機関をはじめ個人旅行では訪問できないであろう各所を訪れ、直接お話を伺えたことは大変貴重な経験であり、人生の中でも大切な1ページとなりました。ベトナムの独特な風土風習や文化に驚かされ、ある種カルチャーショックを受けた私ですが、アジア子どもの家での子どもたちの輝く瞳と人懐っこい笑顔、また多くの方々との出会い、近くて遠かったベトナムに親近感を持ち、「女性のため、そして同じ目的に向かって仕事をしている女性として、共に頑張りましょう。」というホーチミン支部のリー副支部長の言葉に思いを新たにしました。

最後に奥島団長はじめ参加者の皆さんにお礼を申し上げますとともに、このような有意義な機会を与えていただいたことに改めて感謝し、報告と致します。